
こんにちは。京都ノオト、運営者の「MASA」です。
京都の街を歩いていると、ショーケースに並ぶ和菓子の美しさに思わず足を止めてしまうことはありませんか。
でも、種類が多すぎて何を選べばいいのか迷ってしまったり、あとで「あの時期だけの限定品だったのに買い逃した!」と後悔したりすることも多いですよね。
実は京都の和菓子は、単なるスイーツではなく、12ヶ月のカレンダーそのものなんです。その時期、その瞬間にしか味わえない特別な物語が隠されています。
この記事では、京都の和菓子を12ヶ月ごとの歳時記として整理し、絶対に外せない季節の銘菓や、老舗が手がける名品について詳しくご紹介していきます。
記事のポイント
- 京都の和菓子が持つ12ヶ月それぞれの意味や歴史的背景がわかります
- その時期にしか食べられない季節限定の和菓子と販売期間を把握できます
- 老舗ごとの味の違いや特徴を知り自分好みの一品を選べるようになります
- 京都旅行の時期に合わせた和菓子選びやお土産選びに迷わなくなります
京都の和菓子で12ヶ月の四季を楽しむ歳時記
京都では、季節の移ろいを何よりも大切にします。
ここでは、1月から夏にかけての前半6ヶ月にスポットを当て、月ごとに変化する京菓子の世界をご案内します。
行事や儀式と深く結びついたお菓子を知れば、京都散策がもっと味わい深くなるはずです。
季節ごとに変わる和菓子の種類と一覧
京都の和菓子は、一年の流れを映し出す鏡のような存在です。
単に甘いものを食べるというだけでなく、そこには「走り(先取り)」「旬」「名残(なごり)」という日本独自の時間の楽しみ方が込められています。
例えば、桜が咲く少し前に桜餅を食べて春を予感したり、散りゆく桜を惜しんで「花筏(はないかだ)」というお菓子を愛でたりします。
菓匠・末富のご主人も語られているように、京菓子はまさに「和文化の結晶」なんですね。
この章からは、月ごとの代表的なお菓子をピックアップしてご紹介しますが、まずはざっくりと季節の流れを感じてみてください。
検索クエリでよく見かける「京都 和菓子 12ヶ月 一覧」のようなリストを頭に描きながら、それぞれの物語を深掘りしていきましょう。

京菓子を楽しむポイント
ただ食べるだけでなく、「なぜその形なのか?」「なぜその色なのか?」という背景にある物語(朝廷儀礼や茶道の歴史)を知ることで、味わいが何倍にも深まります。
老舗が手掛ける1月の葩餅と由来

新しい年の始まり、1月の京都を象徴するのが「葩餅(はなびらもち)」です。これはもう、京都のお正月には絶対に欠かせない存在ですね。
もともとは平安時代の宮中儀礼「歯固めの儀」に由来しています。
かつては長寿を願って硬いものを食べていたのですが、時代とともに変化し、柔らかいお餅の中に「牛蒡(ごぼう)」と「白味噌餡」を包む形になりました。
甘いお菓子にゴボウ?と驚かれるかもしれませんが、このゴボウは土中に根を張る姿から「家の安泰」を象徴しているんです。
多くの老舗がこの葩餅を作っていますが、お店によって個性が全く異なります。
| 店舗名 | 特徴・こだわり | 個人的なメモ |
|---|---|---|
| とらや | 御所御用の歴史を感じる正統派。製法を頑なに守っています。 | 圧倒的な安心感があります。お使い物にするならここ。 |
| 鍵善良房 | 祇園の老舗らしい、洗練された甘さと美しさ。 | くずきりで有名ですが、季節の生菓子も絶品です。 |
| 末富 | 上品な白味噌餡と、華やかな色彩感覚が特徴。 | 見た目の「京らしさ」を求めるならおすすめです。 |

私が個人的におすすめしたいのは、食べ比べです。
白味噌の塩梅や餅の食感が店ごとに違うので、自分好みの「マイ・ベスト・葩餅」を見つけるのも楽しいですよ。
ちなみに、創業100年を超えるような「老舗」の定義や歴史についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
京都の老舗は何年から?創業100年以上の歴史が教える名店と基準
3月の春を告げる人気の上生菓子
3月に入ると、京都の街は一気に春めいてきます。この時期の主役は、何と言っても雛祭りにちなんだお菓子です。
特に注目してほしいのが「引千切(ひちぎり)」です。
別名「あこや餅」とも呼ばれます。少し変わった形をしていますが、これは平安時代の宮中で、儀式の準備に忙しかった人たちが、餅を丸める手間を惜しんで「引きちぎった」ことに由来しているそうです。
忙しさすらも美しい意匠に変えてしまう、京都人の美意識には脱帽ですね。
3月の美味しいものリスト
- 引千切:よもぎ餅などの上に、きんとんや餡を乗せたもの。
- 本わらび餅:春はわらびの根が旬。本物のわらび粉を使った黒っぽいお餅は、とろけるような食感です。
- 桜餅:京都の桜餅は「道明寺」が主流。つぶつぶした食感と桜葉の塩気がたまりません。
6月の水無月など夏の和菓子と行事

京都の6月といえば、月末の30日に行われる神事「夏越の祓(なごしのはらえ)」です。
この日に必ず食べるのが「水無月(みなづき)」というお菓子です。
白いういろうの上に小豆が乗った三角形のお菓子、皆さんも見たことがあるのではないでしょうか?
実はあの三角形は「氷」を表しています。冷蔵庫がなかった時代、宮中の人々は貴重な氷で暑気払いをしていましたが、庶民はそれができません。
そこで、氷に見立てたお菓子を作って暑さをしのごうとしたのが始まりなんです。上の小豆には「魔除け」の意味が込められています。
6月30日が近づくと、どこの和菓子屋さんの前にも「水無月」ののぼりが立ち、当日には行列ができることも珍しくありません。
これは単なるスイーツというより、半年分の穢れを落として残りの半年を健康に過ごすための、食べる「お守り」のような存在なんですね。
有名な和菓子屋が作る祇園祭の限定品
7月に入ると、京都は祇園祭一色に染まります。街中にお囃子(コンチキチン)が響き渡るこの時期、和菓子も祭り仕様に変化します。
絶対にチェックしてほしいのが「稚児餅(ちごもち)」です。特に「三條若狭屋」さんの祇園ちご餅が有名ですね。
お祭りの主役である「お稚児さん」にちなんだお菓子で、白味噌入りの求肥を氷餅で包み、串に刺してあります。
パッケージも祭りの華やかさを表現した三色の短冊飾りがついていて、とても可愛らしいんです。
また、この時期は蒸し暑い京都の夏を乗り切るために、見た目にも涼しい「葛まんじゅう」や、老舗「亀屋伊織」のような茶席専用の干菓子も登場します。
特に亀屋伊織のお菓子は完全予約制で入手困難ですが、その希少性がまたブランド価値を高めています。
祇園祭の時期に祇園周辺を散策するなら、美味しいお菓子やお土産を探しながら歩くのがおすすめです。
こちらの記事で祇園エリアの情報を詳しく紹介しています。
京都の和菓子を12ヶ月巡る旅と秋の味覚
暑さが和らぐと、京都は食欲の秋、そして観光のハイシーズンを迎えます。
後半の6ヶ月は、栗や芋などの実り豊かな素材を使ったお菓子や、歴史絵巻のような祭事にちなんだ銘菓が登場します。
9月と10月に味わう栗や秋の和菓子

9月のお月見、京都では少し変わったお団子をお供えします。
一般的な丸い団子ではなく、里芋のような形をしていて、あんこが帯状に巻かれているんです。
これは、お月見がもともと芋の収穫祭(芋名月)だったことの名残だと言われています。
そして10月になると、いよいよ秋の味覚の王様、「栗」の登場です!
京都の近くには丹波という栗の名産地があるため、新栗を使った「栗餅」や「栗蒸し羊羹」が飛ぶように売れます。
特に栗蒸し羊羹は、竹皮で包んで蒸し上げられていて、もっちりとした食感と栗のホクホク感がたまりません。
10月の時代祭と限定菓子
10月22日の「時代祭」に合わせて、俵屋吉富などの老舗からは「貴久万毛利(きくまもり)」といった限定菓子も販売されます。
皇室ゆかりの菊の紋様があしらわれた、この時期だけの特別な一品です。
11月の紅葉やお火焚き祭の有名銘菓

街が紅葉で赤く染まる11月。この時期の和菓子は、視覚的にも秋を感じさせる「竜田(たつた)」などの銘がついたものが多く見られます。
竜田川の紅葉をイメージしたきんとんや羊羹は、食べるのがもったいないほどの美しさです。
また、京都のローカルな風習として知っておきたいのが「お火焚き祭」と「お火焚き饅頭」です。
伏見稲荷大社をはじめとする神社で行われる火祭りに合わせて、紅白のお饅頭を食べます。
このお饅頭には宝珠(ほうじゅ)の焼印が押されているのが特徴で、ミカンなどと一緒にお供えされます。
茶道の世界でも、11月は「炉開き」という重要な節目の月。
火の用心と子孫繁栄を願って、イノシシの子(ウリ坊)を模した「亥の子餅(いのこもち)」を食べる習慣があります。
とらやさんなどで見かける、ちょっとユーモラスな形のお餅です。
京都のお寺でお抹茶をいただきながら、こうした季節のお菓子を味わうのも最高です。おすすめの場所はこちらの記事で紹介しています。
【京都で抹茶が飲めるお寺17選】絶景庭園から予約必須の穴場まで
12月の冬至や顔見世にちなむ和菓子
一年の締めくくりである12月。京都の南座では歌舞伎の「吉例顔見世興行」が行われ、街は華やかな雰囲気に包まれます。
この時期には、役者さんの名前が書かれた看板「まねき」を模したお菓子や、紅白の餅花が出回ります。
これらは、贔屓(ひいき)の役者さんを応援し、来年の福を招くという意味が込められているんです。
そして冬至(12月22日頃)には、柚子を使ったお菓子が恋しくなりますね。
例えば「局屋立春」の「柚子しずく」は、柚子の中身をくり抜いて羊羹を流し込んだ、香り高い逸品です。
見た目も柚子そのものなので、冬のギフトとしても非常に人気があります。
季節限定のお土産として選ぶ京菓子
ここまで12ヶ月の和菓子を見てきましたが、京都でお土産を選ぶ際は、その時期ならではの「限定性」を意識すると、受け取った方にも大変喜ばれます。
注意点:賞味期限について
季節の生菓子(主菓子)は、基本的に「当日中」が賞味期限です。
お土産として持ち帰る場合は、日持ちのする干菓子や、密閉された羊羹などを選ぶのが無難です。生菓子は、ぜひ現地で味わってくださいね。
- 春:ピンクや若草色の華やかな干菓子、桜餅
- 夏:竹筒に入った水羊羹、涼やかな寒天菓子
- 秋:栗を使った蒸し羊羹、紅葉を模したお菓子
- 冬:柚子餅、懐中しるこ、縁起物の干支菓子
数値や価格はあくまで目安ですが、一つ数百円から購入できるものが多いので、いくつかのお店を巡って少しずつ買い集めるのもおすすめです。
京都の和菓子で12ヶ月の風情を感じる
今回は「京都 和菓子 12ヶ月」というテーマで、季節ごとの銘菓や行事との関わりについてご紹介しました。
京都の和菓子は、単にお腹を満たすものではなく、その季節の空気感や歴史物語を五感で楽しむための「装置」のようなものです。
1月の厳かな葩餅から始まり、12月の華やかなまねき菓子まで、一年を通してこれほど多彩な表情を見せてくれる食文化は、世界中を探してもそうそうないのではないでしょうか。
次に京都を訪れる際は、ぜひその月だけの特別な和菓子を探してみてください。
きっと、今までとは違った京都の横顔が見えてくるはずです。